疑惑とモーニング娘。
私は十数年ほど前からモーニング娘。のファンです。Hello!Projectの他のグループについてもある程度は知っているつもりです。
現在のモーニング娘。20は15期の新メンバー加入によって注目度が上がっている最中でもあり、近年にないほど順調な活動状況であります。彼女たちのパフォーマンスやブログ記事を見ている限り、その未来も盤石であるかのようにも感じられます。
ところが先週あたりからいくつか出ていた記事ですが。
ここで言うAが誰なのかは現在のところ不明です。通常であれば笑い飛ばせる程度の内容なのですが、ここに来てファンの一人としては少し不安になってきたというのも事実です。
モーニング娘。の歴代の卒業者はそれぞれ少女時代から見てきましたから、記事にあるような人物像とは全くイメージさえつながりません。ですからほぼ確信的に思うことは、Aが存在したとしても他のアイドルグループであるか、そうでなければ全くの誤認記事であるかのどちらかだろうということです。
仮にモーニング娘。OGの誰かであったとしても、少し残念には感じるかもしれませんが、そのこと自体は別にたいした話であるとは思いません。アイドルも人間ですから長い人生のあいだには様々なことが起こりうるということでしかないでしょう。
とは言え、報道メディアはこの数年、薬物に関していささか過剰にしか思えない反応をし続けています。Aの関わった楽曲や映像が当面自粛になってしまうことはほぼ間違いありません。そうなれば現行のモーニング娘。20にも影響が及ぶことは避けられないでしょう。
ある人物が何らかの犯罪を犯したとして、その人物が関係したモノや歌った楽曲などに罪があるわけがありません。ましてや、かつて所属していた組織に責任があるはずもないのは明らかです。
一昨年の吉澤ひとみさんの起こした事故については、ハロープロジェクト関係者から一定部分の謝罪のコメント等があったように記憶していますが、基本的には事件事故とは無関係である立場を通したように思います。
アイドルと虚構性
問題は法律上の責任などとは別のところにあり、吉澤さんの事故とその報道によってモーニング娘。はすでにそこを大きく毀損されていた可能性があるということです。
普通の人間をきらびやかなアイドルとして成立させるには一種の幻想が必要です、その幻想は虚構によって支えられます。エンターテイメントにおいて虚構はネガティブな要素ではなくて、プロレスやお芝居などと同様に、虚構によって人は共同幻想を持ち、それを楽しむことができるわけです。
一般の人々にとって痛ましい事故はその虚構性を打ち破るのに十分な衝撃であったわけですが、わたしのような幻想に浸りきっている者にとっては形式的には無関係な話でしかなく、ここに現実の認識に対して大きな齟齬があったのだと思います。
モーニング娘。は構造的に一般の人からの安定的な支持を必要としています。ファンの予備軍である今はファンではない人から新規のファンを獲得し続けなければ、収益を支えるだけの人気を維持することはできません。また子どもたちからの人気がなければ、長期的に人材の確保が困難になって破綻してしまうことでしょう、ハロープロジェクト自体がその構造の上に乗っています。
連鎖反応
事故のダメージが実際にどこまであったのかは歴史を試すことができない以上は不明です。ただAがOGであった場合は、彼女たちの人気と虚構性には追い打ち的な致命傷になってしまうでしょう。モーニング娘。の名前はアイドルとしては歴史のある大きな看板です、それが一転して大きな重荷になってしまうわけです。
これまで大切にしてきた伝統を守るのをやめて、古い楽曲資産を捨て、まったく新しい名前に改めたりすればこれを乗り越えられるでしょうか。おそらく無理でしょう。メンバーを一部、あるいは全員入れ替えたらどうでしょう。なおさら無理な気しかしませんね。
有能なアイドル事業者ならおそらくマイナスイメージの付いた商品は廃止、つまり解散するという経営判断をするでしょう。ハロープロジェクトの他のグループもそれぞれ経営的な自立を果たしつつありますが、モーニング娘。のないハロープロジェクトを維持するモチベーションがあるでしょうか。そもそもアイドル全般に幻想が保てない状況になれば負の連鎖はどこまでも続くことになるでしょう。
もちろんこうしたことは個人的な妄想でしかありません、ハロープロジェクトの終焉の可能性を想像して、勝手に陰鬱な気分に浸っているだけです。考えてみればモーニング娘。はかつて解散を匂わせながら這い上がってきたアイドルグループでもありますね。今回も案外乗り越えたりするんでしょうか、そんな伝統はそろそろ捨ててほしいと願わざるをえませんけども。
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