誰しも健康的な身体を維持してゆくためにはある程度の定期的な運動(エクセサイズ)が必要になります。継続的で効果的な運動習慣を生活のなかに取り入れてゆくために、既に様々な手法が確立されています。ここではそうしたフィットネスやダイエットにまつわる豆知識を集めてみました。
フィットネスの豆知識
部分痩せは不可能と考えよう
たとえば腹回りの脂肪を取り除くために腹筋運動をするのはあまり効率がよい運動にはなりません。一般的に部分痩せと言われる特定の部位だけの脂肪を減らす方法はないと思ったほうがよいでしょう。
体重を減らすためには、一定のカロリーの欠乏期間が必要になります。摂取するカロリーを減らし運動をして消費カロリーを増やすわけです。腹筋運動などの特定部位の運動よりも全身の複合的な運動(スクワット、有酸素運動)のほうが多くのカロリー消費ができるので腹部の脂肪をより多く減らせます。
筋肉痛は運動の効果ではない
筋トレを始めてしばらくは遅効性の筋肉痛を感じることがあります。こうした筋肉痛は運動強度に関わらず初期には経験することです。また上腕二頭筋のようにほとんど痛みを感じずにトレーニングができる筋肉などもあります。
つまり筋肉痛はトレーニングの結果発生する痛みではありますが、痛みがなかったとしてもトレーニングができていないという指標になるわけではありません。負荷の高すぎる筋トレは身体部位を痛める可能性があります。運動習慣としての筋トレを考えると、むしろ筋肉痛を感じない程度の運動強度を維持する方が良いでしょう。
運動前後のストレッチの必要性は低い
運動の前後にはストレッチをするのが怪我のリスクを減らすのに効果的だ、と長らく言われてきましたが、最近の研究では必ずしもそうだとは言えないようです。
軽いジョギングなどのウォーミングアップは体温を上昇させ筋肉の柔軟性を高めます。ウォーミングアップによる怪我のリスクの減少はある程度確認されていますので、簡単な運動からエクセサイズを始めるのであればストレッチは必要ないかもしれません。
背中のトレーニングは効果的
筋トレでは腰を痛めたときはバーベル運動などを避けることがセオリーでしたが、それも変わってきたようです。回復初期の段階を過ぎたあとはなるべく背中のトレーニングをするほうが状態の改善がすすむそうです。
背中の強化は腰の状態を改善し体を動かすことを楽にします。背中を鍛えないと逆に怪我をしやすくなりますので、筋トレをする場合は体の前面だけではなく背中のトレーニングも忘れないように取り入れましょう。
一日1万歩を目標にすべき
腕に着用する活動量計なども普及してきましたが、一日の身体活動の測定に最も合理的なのは歩数であることはこれからも変わらないでしょう。10000という数字自体にはあまり意味はないようですが、運動量の目安としての歩数の計測は手軽にできる記録として有用です。
現在の研究では一日8000歩が運動効率が最も良いという結論にはなっています。しかしこれも個人差や条件次第で大きく変わりますので、このあたりの好きな数字を選んで目安として見ておくのは管理しやすい目標になるでしょう。
運動をやめても筋肉は脂肪には変わらない
事実として言うならば、筋肉の細胞と脂肪細胞は別のものなので、お互いに変化し合う関係にあるわけではありません。ただ運動をやめて多くのカロリーを摂取すると脂肪が増えます。筋肉に対する刺激を中断すると筋肉量が減少します。
ランニングは膝に悪くない
膝は機械の部品ではなく生体の部位なので、使用しても消耗するだけではなく適応的な生体反応が起こります。もちろん使いすぎれば軟骨に悪影響を与えることは間違いありません。
現在の研究ではランナーは非ランナーに比べて膝の問題を発症する可能性が低いことがわかっています。もちろん膝を痛めるランナーがいないわけではなく、ランニングによって確率が悪化するわけではないということです。
ウェイトリフティングをしても体が大きくなるわけではない
筋肉を増やすのは一般に思われているよりずっと大変です。カロリーを余剰状態にした上でだんだんと重くなるウェイトと持ち上げ続けなくてはなりません。意図せず筋肉が肥大しているということはほぼ起こらないと思ってください。
多くの体重を減らしたい人はカロリーを制限した状態でウェイトリフティングを行うのは良い方法です、脂肪を確実に燃焼させることができるからです。またウェイトが重くなればより多くのカロリーを消費することができます。
回復と休息は重要
健康のための運動はすればするほど良いというわけではなく、適切に身体の回復と休息を図ることが重要になります。わたし達の身体は運動し続けるようにはできておらず、疲れた状態の運動は効率を落とすだけです。
週に3回程度のトレーニングが一般的な人には良い基準になるはずです。またトレーニングの間に休息日を設けるようにしましょう。
ヨガで筋トレはできない
筋肉トレーニングは段階的に負荷を増やしてゆくことが必要になります。ヨガのような運動で筋肉増強の効果を得るのは困難です。もちろんカロリー消費を増やす目的であれば十分に果たせるでしょう。
夜間の運動は睡眠の妨げになるかも
どのような運動であれ身体への刺激となり、覚醒ホルモンであるコルチゾールの量を上げてしまいます。個人差も大きいですが、寝る直前に運動することは安眠には繋がりにくいでしょう。一方である程度の疲労は睡眠に必要だと言う人も少なくありません。
睡眠の質は健康には欠かせないため、運動時間を管理することは大切です。個人差が大きいことなので適切なルーチンは自分で試行しながら見つけるようにしましょう。
年齢とともに代謝量は減少するが‥
歳とともに基礎代謝が減少してゆくことはよく知られています。実は実際に代謝を減らしてゆく主要な原因は筋肉量の減少にあります。さまざまな理由で年齢とともに筋肉量が減少し、それが代謝量を減らしてゆきます。
つまりできるだけ筋肉の量を減らさないようにすれば代謝が維持され、年齢を重ねても体力が維持できるようになります。
ルーチンの切り替えは慎重に
最初から簡単にトレーニング結果の向上に結び付けられるような運動はありません。ある程度はその運動を習熟し、基礎的な知識やテクニックを身につける段階が必要になります。つまり基礎が身についていないまま様々な運動を頻繁に切り替えるのはあまり効率の良いやり方とは言えません。
基礎を身につけるのは退屈に感じられることも多いでしょうが、ルーチンを切替えるのはそれぞれの運動レベルが一定の段階まで進んだことを確認してから行うようにしましょう。
セックスは良い運動というわけではない
セックスは精力的に行ったとしても消費代謝量としては限定されたものにしかなりません。もちろんソファに座っているだけの状態に比べればエネルギーを消費していますが、エクセサイズとして成立させるためにはベッドで何十分も過ごさなくてはならないでしょう。
病気のときは運動すべきではない
病気になると免疫系が活発になります。運動は免疫系が必要とする体力まで消耗してしまうので病気が悪化したり長期化する可能性があります。免疫系に不必要な負担をかけるより数日運動を休むほうが良いでしょう。
インターバルトレーニングは最も効率的な運動?
インターバルトレーニングは高強度すぎるため心拍数が上がりすぎる傾向にあります。そのため脂肪を燃焼するという目的には適しません。(脂肪燃焼心拍数は最大心拍数の70%程度と言われています)また経験が少ない人では適切な運動レベルに達する前に疲労してしまうため短時間のトレーニングで終わってしまい効率がかえって悪くなります。
逆に熟練した人がインターバルトレーニングを行うなら短時間で多くのカロリー消費ができるので良い方法であるかもしれません。あわせて筋トレなども併用し筋肉を増強すれば安静時の代謝を高めることもできます。
年齢を重ねるほど運動の重要性は高まる
運動は体に刺激とストレスを与え、修復と回復のメカニズムを活性化させます。定期的な運動をしている身体は怪我をしにくくなり健康を保ちやすくなります。運動によりDNAの損傷を修復する抗酸化物質が生成されやすくなります。また体内の病気の原因となる炎症を軽減します。脳で分泌される神経ホルモンはアルツハイマー病の予防に役立つことがわかっています。さらに運動は加齢に伴う老化を遅らせることが判明しつつあります。
つまり年齢を重ねるにつれて運動の重要性はますます高まっているということです。
コメント