暗号資産のトレードと認知バイアス

著作者:rawpixel.com/出典:Freepik
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個人的には仮想通貨の取引は、まだ普通の人が行う資産運用としては適当ではないと考えています。特にダウンシフト生活をしようとしている人には無用なものになるでしょう。ただし、仮想通貨のトレードは趣味の範囲で行う分には、少額で楽しめるということと簡単に最新技術と関わることができるのでレジャーとして手軽とも言えます。

トレードには技術的な側面があり、自分の技術やスキルを磨くことはそれだけで楽しいことです。技術を磨くには知識と経験が必要であり、そのために暗号資産のトレードはFXで目を血走らせるよりも落ち着いた環境でできるので知識と経験を得るには向いていると言えるでしょう。

ここではトレードを無意識にうちに左右する認知バイアスについて解説してみたいと思います。

トレードにおける認知バイアス

あなたのトレードを失敗させるのはあなた自身の認知機能である可能性があります。

誰でも自分の決定は合理的で客観的だと信じたがるものですが、実際にはそのようなことはほとんどありません。つまりこの認識の誤りが問題の本質なのです。簡単に言えばそこにさえ注意を払えば、この問題は解決するのですが、私たちの注意力は限られています。

私たちの脳は多くの処理を行っているため、問題解決をするためにできるだけ近道をしようとし、問題の単純化をしたがります。そしてその単純化がときに判断の誤りにつながってしまいます。客観的な事実ではなく経験や偏見に基づく判断を下すことになります。この構造を認知バイアスと呼びます。

良いトレーダーになるためには、より論理的に考える必要があります。認知バイアスを理解してそれを克服してゆけばパフォーマンスの向上につながります。

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行動バイアス

行動バイアスは常に何かをしなければならないと感じる衝動のことを言います。人間は基本的に何もしないでいることより、何かしらの行動を起こすことのほうを好みます。

トレードにおいては常にエントリーしてポジションを取りたがる感覚のことになります。もちろんすぐに利確や損切りをしたくなる感覚も含まれます。たしかに何もしないのは退屈ですが、状況が良くなるまで待つのが最善である場合もあるでしょう。

このバイアスを克服するのは実際にはかなり困難ですが、行動バイアスの存在を常に自覚して、その判断が論理的に出てきた結論なのか、または根拠ない衝動なのかは訓練することによって区別できるようになります。

アンカーバイアス

アンカーバイアスは最初に得た情報を過度に重視する傾向を言います。あなたが何か新しい知識を得たとき、無意識のうちに最初のポイントに固定(アンカリング)されます。

普段は100ドルで売られていた服がセールになって特売価格50ドルになるような場合、最初の100ドルにアンカリングされているので50ドルはお得に感じてしまいます。ここでその服の仕入れ価格が5ドルだと知ったら、お得だと思うでしょうか?

暗号資産ではこのアンカーバイアスは常に問題になります。通常の通貨でもそうなのですが、暗号資産は実際には文字列と数字でしかありません。裏付けとなる資産価値は極端に乏しいので現在の取引価格を見たときには、現在しか意味を持たない数字だと考えるようにしましょう。

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確証バイアス

確証バイアスは自分の考えと一致する情報を集めようとする傾向のことを言います。誰でも自分が間違っていないと信じたいものです。しかし確証バイアスによって自分の考えを不必要に強化してしまい、それが本当は誤っていたときに事実を認めることができなかったり、認識を改めることが遅れてしまうようなことが起きます。

特にSNSなどで自分の考えに沿った人だけをフォローしたり、反対意見の人を排除するとエコー・チェンバーに陥ってますます偏った考え方に固執することになりがちです。

どちらにせよトレードにおいてはあまり他者の意見は参考にはなりません。相場の先行きがわかっている人というのは存在しないと考えましょう。自分自身の考え方を少しづつ持つようにし、取引経験を積むにつれて修正を加えることを厭わないようにしたいものです。

サンクコストバイアス

いちど何かに多くの労力やお金をつぎ込むと、失敗したとわかっていても手を引くことができなくなります。この傾向をサンクコストバイアスと言います。

これはトレードではありふれたバイアスです。損切りすることは自分の誤りや損失を認めることになるため、さらにオーバーコミットしたりします。

何かに時間やお金を費やしたからといって、それをさらに続けたほうがよいかはわかりません。「自分が今知っていることをその時知っていたとしたら、もう一度同じ決断になるでしょうか?」と自問してみてください。

このバイアスはトレードにおいてはどこかで克服しなければなりません。いつでもここに陥る可能性はあります。このために判断の基準はある程度固定して、それに基づいて判断することを習慣化してゆく必要があるでしょう。

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認知バイアスを克服する方法

認知バイアスが取引の決定に影響を与えないようにするためには、バイアスの存在を認識した上で、意識してそれに対抗するように行動を変える必要があります

  1. 失敗した取引のとき、認知バイアスの影響を中心に検討して対策を考える
  2. 判断のためのチェックリストを作成し、それを確認しながら最終判断を下す
  3. 取引に入る前に利確や損切りのシナリオを作成し機械的に実行するようにする

認知バイアスは人間の本質に関わっているため、どう頑張ってもその影響から逃れきることはできません。間違いは誰でも犯しますし、トレードには誤りは付きものです。自分を責めるよりも失敗から学び成長することに集中しましょう。

狩生

  ■ フリーダウンシフター ■
  ■ 減速ライフを実践中! ■
  ■ のんびり生きましょう ■

読書 / 英語小説 / 古代史研究 / ドロー系 / ウォーキング / python / 脱消費主義 / 新米ブロガー

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