King Gnu「泡」歌詞分析

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映画「太陽は動かない」、テレビドラマ「太陽は動かない -THE ECLIPSE-」主題歌

歌詞考察

「泡」の歌詞は「消えゆくものの儚さ」「喪失の痛み」そして「残された者の寄る辺ない感情」を、透明感のある言葉と印象的な比喩で描き出しているのかなと感じました、最初は。

歌詞の語り手は何かを失っており、その運命に打ちひしがれているようだ、とは誰でも読み取れるでしょう。この歌詞で問題となるのは「何が」失われたのかが明示されていないということです。

パチンと弾けて
泡のように消えた
呆気のない運命が
心をえぐった

確かに感じた
仄かに歯がゆい
過ぎ去った運命に
囚われたままで

パチンと弾けて
泡のように消えた
あなたは今も
どこかで元気ですか?

あの夏の匂い
仄かに歯がゆい
いつしか夢中で
追いかけてたのは影

King Gnu ”泡”

ただし、完全に明示されないわけではなく、「泡のように消えた」が「あなた」に係っているのであれば、失われたのは「あなた」もしくは「あなた」との関係性や時間です。

確かにそう取るのが正解ではあるでしょうし、これを否定することは難しいでしょう。

語り手死亡説

この歌詞のテーマは「喪失」とそのあとの「感情」にあること自体は揺るがないのですが、歌詞の世界構造が単純に受け取れるままで良いかというと、そこに解釈の分かれる余地はあるような気がしています。

ところで、この楽曲は「太陽は動かない」の主題歌なのだそうです。相変わらず個人的には存在もしらなかった映画やドラマなので、申し訳ないのですが、こちらの内容なども「あらすじ」を読んだだけです。

その上で言えることは、おそらく映画やドラマとこの歌詞の内容はまったくリンクしていないということです。そして「太陽は動かない」というタイトル自体が、この歌詞の構造のコンセプトに影響しているのだと考えます。

通常「太陽は動かない」という言葉があれば、その後ろには「動いているのは私たち自身(地球)だ」という言葉が続きます。つまりコペルニクス的転回というような大袈裟なものでもなく、視点の相対化があると考えられるわけです。

この歌詞の語り手の口調から判断するなら、語り手は「あなた」と死別している可能性が高いのではないでしょうか。何らかの突然の事故が「呆気ない運命」として二人を襲い、死別へとつながっている。

一方で語り手は「あなたは今も どこかで元気ですか?」と呑気とも見える問いを発している。

つまりこれを視点を相対化して見て、合理的に歌詞の解釈をするのであれば、この死別において亡くなっているのは語り手自身なのであろうということです。(語り手死亡説)

これを裏付ける根拠として、歌詞冒頭の「消えたの」が消えた主体が明示されず、また語り手の意思を示すようにも取れること。「魚と成り」のように化身をしていること。 「清らかに 飛んでゆけたらね」と飛ぼうとしていること。MVの主人公の死を暗示する表現が多いこと、などがあります。

まとめ

「泡」は命の儚さの象徴であることが多く、魚になるのもどこか仏教的な死生観でしょう。いずれにしても単純に「儚さ」「喪失感」を表現したいのであれば、もう少しストレートな表現になっても良いはずなので、語り手死亡説は一つの正解としてぐらいはありそうかなと思っております。

狩生

  ■ セミリタイヤブロガー ■
  ■ 減速ライフを実践中! ■
  ■ のんびり生きましょう ■

読書 / 古代史研究 / ウォーキング / ダウンシフター / ドロー系絵描き / AppSheet / 脱消費主義 / 英文小説

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