まずBABYMONSTERの紹介からしたいのですが、現状のK-POPはなかなか複雑な状況でもあり、認識の差も大きいでしょうから、少し独断的な紹介になりますがお許しください。
BABYMONSTERは7人組ガールズグループ、YGエンターテイメント所属。通称ベビモン。音楽ジャンルとしてはK-POPです。ただしK-POP自体はHipHopに寄りつつありますし、以前のアイドルグループの典型イメージとはだいぶ異なっています。
2023年のデビューですが、既にK-POPでは人気と実力ともにトップグループの一角を占めていると言っても良いでしょう。
パフォーマンスはクールでゴージャスなものが主体ですが、一方でガーリーでポップなものもあったりして、多彩なイメージがあります。
メンバーの選出には数年の長いオーディションがあったようです。そうしたことを考えても、パフォーマンスを見て彼女たちを知った人が驚くのはメンバーの年齢なんじゃないのかなと思います。
BILLIONAIRE
「BILLIONAIRE」はアルバム「DRIP」の収録曲で、ディスコグラフィーとしては余興的な位置の曲なのだろうとは思いますが、タイミング的にこの曲が現在ランキング上位にありますので、歌詞分析をしながら解説含みでやってみたいと思います。
和訳解説
BABY I’mma MONSTER
I’ve never felt like this before
They stop when I walk through the door
Something click it’s a state of mind
Type of rich can’t be quantified
And it ain’t my fault if you not trying to match my mood
Sorry but that’s on you
最近流行ってる冒頭の掛け声(名称あるのかな?) ですが、「BABYー」はもちろんベビモン自身を捩っています。
” これまで感じたことのない感覚だわ
私がドアをくぐると皆立ち止まる
何かが感情を湧きたてる
この豊かさは測れるものじゃない
この気分に同調できないのは私のせいじゃない
悪いけどあなたのせいよ ”
この後半部分で踊っているのがタイ国籍のチキータ(16)でマンネ(最年少)です。
Baby I don’t mean to brag
You know I’m not talking cash
Got a thing that’s only mine
“ ベイビー 自慢したいわけじゃないの
おカネのことを言ってるわけじゃないのよ
私だけのものがあるの ”
この白い衣装の大人っぽい美人が韓国籍のラミ(17)です。
And I watch your eyes go green
I can feel your jealousy
Up here in the sky sky
” 目が緑色になってるみたいね
あなたのジェラシーを感じるわよ
ほら空まで届きそうよ ”
“green eye”には緑色の瞳の意もありますが、ここでは「嫉妬深い」のほうを引っ掛けています。このパートを歌うのが韓国籍のアヒョン(17)です。彼女はメインボーカルで高音部を担うことが多いです。
Oh look at me, I woke up
Feeling like a BILLIONAIRE, woah
World is mine, yeah life is so unfair
Money don’t compare
I got something rare
Feeling like a BILLIONAIRE
” 見てよ 目が覚めたの
ビリオネアになった気分ね
世界は私のもの 人生は不公平なものね
おカネなんて比べ物にならない
私が手にしたのはもっと大切なもの
ビリオネアの気分ね ”
パートの前半を歌っているのがタイ国籍のパリタ(19)で、後半は韓国籍のローラ(16)です。
I got rules here to break
Say it with my chest and in your face
Hear the boom in the bass
Pump it up, back it up, turn in up
R.U.K.A
” 破るべきルールがここにある
それを胸を張ってあなたに言うわ
ベースの唸りを聴いて
上げて上げて上げて
R.U.K.A ”
このラップパートを歌うのが日本国籍のルカ(22)で最年長。主にラップを担当しているようです。「R.U.K.A」は自分の名前を歌ってます。
K-POPのラップパートはHipHop本家側に洗練されてきていて、ここの部分もリファレンスが多く入っているため訳してもあまり意味が通らなくなってきているようです。検索すればそれらしいものは見つかります。ここではそちらの知識が足りないので紹介まではしません。
ACE-SA be the name, so cut the deck
Deal it out
Above the money power and respect
Arigato
Who dat? who dat? who dat?
Got the flame
Bet it on me, double up your life
” ACE-SAと呼ばれしもの、デッキをシャッフル
おカネの力やリスペクトの上に配ります
「ありがとう」
さあ誰かな誰かな誰かな
炎を灯して
私に賭けて、あなたの人生ダブルアップ ”
ここで最後のメンバー日本国籍のアサ(18)のラップ。彼女もラップ担当です。
「ACE-SA」はアサ(ASA)とエース(ACE)を合わせたものでしょう。やはりこちらのラップパートもリファレンスが多くて意味的にはよくわからない感じですね。「Who dat?」は Who is that? の略記です。
以降はほぼ繰り返しになります。
歌詞分析
BABYMONSTERの各メンバーはハイブランドなどのアンバサダーになっていて、庶民的というよりはハイソサエティ志向が強いイメージなのですが、K-POP本家は儒教色が強い韓国ですからHipHopで言うボースティング的なスタイルは受け入れられにくいという現状があるのだと思います。
「BILLIONAIRE」もタイトルなどから感じられるイメージはゴージャスなのですが、衣装などのスタイルやMVのデザインはシンプルになっていて歌詞のメッセージも「お金より大事なものがある」というものになっています。
とは言え、だったら最初から「BILLIONAIRE」というタイトルの曲にするなよという話ではあるのですが、そのあたりの販売戦略や事情はK-POPではよくわからないところがあります。
全体的にそれほど複雑な構成の歌詞ではないと思いますし、複雑なメッセージがあるわけでもないのでアルバム曲だなあという印象です。
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