家計簿をつけるのは手間と根気が必要になりますね。でも家計を把握したいだけなら、実は家計簿までは必要ありません。簡易な方法があるからです。
この方法はレシートを集めたり、数字を多量に記入をするような手間もかかりません。一ヶ月に一回、数字をいくつか拾い出してゆくだけというカンタンなものです。
家計を把握するカンタンな方法とは
方法の説明の前に、そもそも「家計を把握する」というのは何を調べれば良いのでしょうか。
収入と支出の差を収支と言います。収支がプラスなら黒字、マイナスなら赤字です。家計の健全性を測るものの一つに収支が黒字か否かがあります。そしてもう一つは資産と負債のバランスです。資産と負債の差をとったものが純資産と言い、純資産の増減の傾向は家計を管理するなら見ておきたいところです。
- 月間の収入総額と費用総額がわかる
- 資産総額と負債総額がわかる
- 上記の三ヶ月程度の増減の傾向を把握する
こうすることで、家計の収支と純資産のバランスがわかり、家計の現状を把握したことになります。
家計簿では費目ごとの支出額や資産の内訳などを管理するわけですが、家計全体の状態を掴むことには必要ありません。重要なのはそれぞれの総額とその推移です。
もしカンタンな方法を試した後に、家計管理を詳細に行いたいのだとしたら、実際に家計簿を付けてみることを考えてみたら良いと思います。
家計の範囲を決める
家計の範囲は自分の管理責任の及ぶ全体です。家計を共にする家庭全体の資産と収支のことを言います。もちろん子供の小遣いなど、管理外と思われるものは外してよいでしょう。
資産は基本的に預金口座と現金で足りると思いますが、株式などの金融資産があれば時価で計上しておきましょう。不動産などは家計の把握ではとりあえず考えなくても良いかと思います。
キャッシュレス決済のチャージ分やポイントなども額によっては資産に入れましょう。クレジットカードの支払い残高とローンなどは負債として算入します。
設定された範囲内の資産と負債に対して、範囲外からの流入を収入
範囲外への流出を支出(費用)と言います
数字を集める
家計の範囲が決まったら、月末か月始めに初回の記録をします。メモ用紙でも良いですが、表計算ソフトであれば計算も簡単です。
預金口座の残高(複数あればその総額)、と手元の現金の総額、金融資産の時価総額、負債としてローンなどがあれば残高を確認して、記録します。
その後、一ヶ月経ったら(数日ずれていてもかまわないと思います)、同じことをします。このときは一ヶ月間の収入の総額を口座明細や給与明細などで確認して記録します。預金金利などもあれば忘れずにいれましょう。
株式などの売買損益などはとりあえず考慮しないでよいでしょう。また、この間に金融資産口座への入出金、ローンの返済などがあればそれぞれ総額を記録してください。
これを一ヶ月ごとに何度か必要なだけ繰り返します。
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | |
---|---|---|---|---|
現金 | 54,000円 | 23,000円 | 104,000円 | 43,000円 |
預金口座(総額) | 1,343,000円 | 1,456,000円 | 1,252,000円 | 1,348,000円 |
金融資産口座(時価総額) | 4,301,000円 | 4,422,000円 | 4,514,000円 | 4,493,000円 |
負債総額(ローン残高) | 520,000円 | 500,000円 | 480,000円 | 460,000円 |
純資産(総資産ー総負債) | 5,178,000円 | 5,401,000円 | 5,390,000円 | 5,424,000円 |
月間総収入 | 300,000円 | 304,000円 | 286,000円 | |
月間総費用 | 198,000円 | 207,000円 | 231,000円 |
黒字の数字は拾い出したもの、青字はそれらから計算したものです。この例では7月に預金口座から20万円金融資産口座へ入金、ローンを毎月2万円返済しているとしています。
とすると、その月に使った費用が計算できます。
資産と負債をストック、収入と費用をフローと言います
ストック内の資金移動や返済、借り入れなどはフローとは無関係なので注意
こうして毎月の総収入の変化、総費用の変化、総資産と総負債の増減が確認できます。つまり家計の把握ができるというわけです。
家計の評価
この方法で出た数字をどう評価するかは、それぞれの家計の事情によって変わってきます。しかし一般的な考え方として、収支と純資産の状態には注目してください。
黒字額の可処分所得に対する割合を黒字率と言ったりします。黒字率が低すぎる、あるいは赤字の家計は通常はあまり健全な家計とはみなされません。
純資産がマイナスになっている家計もやはりバランスが悪いと言えるでしょう。もちろんそれが住宅ローンの負債のためであれば構わない、とする考え方もあるでしょう。
上の例の家計では、ストックバランスは健全です。資産と純資産は横ばい、負債は順調に減少。フローについては、収入が若干の減少傾向、支出は増大傾向なので黒字率が悪化しつつある、と分析できます。
いずれにしても家計の評価は自分にしかできませんので、必要があれば家計改善を考えましょう。
アグリゲーションサービス
ここまで書きましたが、ネットのサービスとキャッシュレス社会の発展はめざましく、現在では家計を把握するカンタンな方法はもう一つあります。現実的にはすでにこちらのほうが有用性は高いのかもしれません。
それは金融のアグリゲーションサービスです、国内で代表的なのはマネーフォワードMEでしょう。
カリュウも使っていますが非常に便利です。使い方によっては家計管理にも十分だと思います。ご利用の金融機関などが対応の中にあるのであれば、試してみてはいかがでしょうか。
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