家計簿の効果
まだ家計簿を付けていない人は、こんな面倒なものに本当に何か意味があるのだろうか?という疑問をもっているかもしれません。
結論から書くと、家計簿を付けると人生が変わります。おそらくは幸福なほうに。
少なくとも生活が変わることは間違いありません。変わる方向が幸福なものになるかは、付ける人の勇気と覚悟によります。
というのは、家計簿が最初に突きつけてくるのは現実だからです。家計簿を付ける人は否応なくその現実と向き合わざるを得なくなるわけです。
家計簿をはじめた瞬間から、厳しい現実に襲われます、自分の置かれている本当の状況を確認することになるのです。これは人によってはとても恐ろしいことかもしれません。
よく家計簿が続かないと言われるのは、ズボラなことが原因ではなく、本当はこの恐怖に耐えられずに逃げている、というのが実際のところなのではないでしょうか。
家計簿はその後も、自分の生活の見通しを明らかにし、価値観、世界認識、人生観などを根本から変えようとしてきます。
つまり家計簿は生活を変えます、さらに言えば人生を変えます。むしろ変えるために家計簿を付けるのです。
変わった結果が幸福なものにするためには、家計簿の示すリアルな世界に適合するよう、自らを変えてゆく必要があります。
その勇気と覚悟を持って、家計簿の扉を開けましょう。
家計簿をはじめた人が遭遇する変化
家計簿をこれからはじめようとする人の家計の状態は、それぞれに異なっているわけですが、おおまかに言えば一定のパターンに沿って進展してゆきます。およそ以下のようなステップがあると考えます。
大げさに感じられるかもしれませんが、家計簿は不幸な人を救えるものだと思います、少なくともそれだけの可能性とパワーがあるものです。実際わたしも救われたと感じています。
① 家計をの現状を把握し、問題や課題を意識してゆくまで
家計を把握するところから始まり、家計の動きを理解した上で、問題と課題を認識し、改善するべきポイントを見つけ出すところまでが第1フェーズです。
- 家計が突きつけてくる現実を受け入れる
- 資産、負債、収入、費用という家計の4要素を把握し、それぞれの関係を理解する
- 家計において、改善が必要なポイントを見つけ、方向性を定める
家計の現状によっては、このフェーズでつまずいて長引いてしまう人もいるかもしれませんが、あっさり通過できる人も多いのではないかと思います。
家計簿を付けはじめてから、早くて三ヶ月、遅い人は1年間ぐらいはこのフェーズにいることになるでしょう。
ちなみに、この期間は家計を改善に着手する前でしょうから、記録に残しておくことをオススメします。家計を改善して振り返ると、きっと面白い読み物になると思います。
② 収支を徐々に改善して、生活の見通しがたつようになるまで
どうやって収支を改善するか、という課題に試行錯誤して取り組みながら、当面のライフイベントをなんとか無事にやりくりできるようになるまでが第2のフェーズです。
家計簿を付ける多くの人はこのフェーズが長くなっていると思います。ここまでで家計簿の目的を果たしていると考える人もいるかもしれません。
ただ、ここで目的意識をもっと先に見るならば、家計簿の持つ可能性とパワーに気づくことになるでしょう。
- 収入を増やすという選択肢の困難さに直面する
- 無駄な支出を省くことに集中し、節約が習慣になる
- 金銭感覚が変化し、買い物にためらいを感じるようになる
収支の改善が課題になるわけですが、収入を増やすという選択は実質的に取ることができず、支出を減らすことになります。
このフェーズを抜け出せるかは、節約している自分をどれだけ認めることができるかがポイントになります。
③ 資産を安定的に増やし、現実的なライフプランを構築するまで
収支の改善とともに、資産を安定的に増やせるようになり、家計の安定化が進みます、そして生活の長期的な見通しがついて将来的なライフプランの構築を果たすまで、が第3フェーズとなります。
家計簿を付けるのであれば、このフェーズには到達したいところ。
家計の記録が積み重なることで、予想外の支出も減ってきます。将来の生活設計を描くことも可能になります。
- モノやサービスを値段ではなく、価値で判断するようになる
- モノと自分の関係についての考えを改める
- 支出額と自分の効用のバランスについて熟考するようになる
人生観や価値観が大きく変化するのはこの時期でしょう。周囲の人々の価値観に振り回されず、自分で判断することが多くなってきます。必要なモノと不必要なモノの境界がはっきりとし、身の回りのモノが多すぎるようにも感じはじめるでしょう。
④ 資産運用を含んだ、生活設計の着実な運営まで
資産を計画的に投資に回せるようになります。経済的な不安はなくなり、設定したライフプランに沿って安定した生活がおくれるようになるまで、が第4フェーズとします。
資産運用自体はこの段階でなくてもできますが、リスクを管理した投機的でない投資ができるのはここからでしょう。
- 短期的な収支には関心がなくなる
- 物欲が減退し、虚飾を避けるようになる
- 経済的な自由の達成が残された目標になる
- 家計簿は実質的に不要になる
資産運用には家計を管理することとは別の知識が必要になりますが、この段階の人は、お金の大切さを知っている上に、自分に必要なお金も知っている人ですから、取るべきリスクもわかるでしょう。
そう考えると、経済的自由まで目指すかは人それぞれということかもしれません。
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