家計簿には食費や教育費、通信費などの支出科目があります、これを費目と言います。
これから家計簿を付けようとする人が最初に頭を悩ますのは、費目をどう設定して仕分けてゆくかということではないでしょうか。
費目の意味
家計簿はそれぞれの家計の事情にあわせて付けることを優先して考えましょう。こうすべきというような決まった付け方はありません。
とは言え、付け方の指針となるようなものがなければ迷ってしまいますよね。ここでは家計を改善してゆくことに目的を絞った付け方を説明してゆきます。
費目とは
支出内容の性質ごとに勘定科目を分類したものが費目です。通常は以下のようなものがあります。
支出割合 | 支出割合 | 支出割合 | |||
---|---|---|---|---|---|
住居費 | 20% | 通信費 | 4% | 交際費 | 2% |
食費 | 15% | 生命保険 | 4% | その他 | 10% |
教養娯楽費 | 10% | 被服・理容費 | 4% | 貯蓄 | 15% |
交通費 | 6% | 日用品費 | 3% | ||
水道光熱費 | 5% | 医療費 | 2% | 合計 | 100% |
ところで家計簿の費目は何のためにあるのでしょうか?
費目はなくても良い
おおくの家計簿の指南書では費目を分けることが重要なことであるように書かれています。使いすぎている費目を発見したり、費目別に支出を管理することこそが家計簿を付けることの意味だとするわけです。
そうした主張が間違いだとまでは言いませんが、実は費目はなくても構わないものなのです。
そもそも家計簿は家計を把握して、生活の改善をしてゆくための道具です。このために本当に意識しなければならない科目は支出の総額だけだからです。つまり支出の費目仕分けは、家計簿を付けるために必要なことではありません。
ですから費目を分けて管理することが負担であると考えるのであれば、支出を一つの科目にまとめて家計簿の運用をしても良いでしょう。
費目に何か利点があるとすれば、支出内のバランスを確認できるということぐらいでしょう。しかし、この点で誤解してはならないことは支出のバランスに理想形のようなものはないということです。
たとえば上の表のように支出割合をあらかじめ考えて、それに近づくように支出をやりくりしてゆくようなことは一見合理的に見えますが、家計の本当の改善にはなりません。
こちらの記事にも書きましたが、家計簿に予算を持ち込むことはできるだけ避けるべきです。支出をあらかじめ決めた支出割合に合わせようとすることは、この予算の設定と実質的に同じことになります。
支出割合については、「必要な支出を必要なだけ」行った結果の数字として見ておきましょう。重要なのは割合ではありません。
支出を費目に分けた上でそのバランスを考えることは、家計について何か考えているように見えて実際には何も考えてないのと同じことです。費目はなくて構わないというより、設定したとしてもその意味を見失わないように注意が必要になるものです。
もちろん費目を設定するべきではないと言いたいわけではありません。費目は支出の目的と効用を考える上で必要な判断材料を与えてくれるものです。
費目は過去との比較のためにある
費目は過去の記録と比較するためだけに使いましょう。
この数ヶ月、あるいは数年の費目ごとの支出傾向を知るためには費目総額の変化を見れば良いわけです。
ただし「食費」という費目を作るには、食料品や外食にかかった金額をそのつどまとめてゆかねばなりません。当たり前の話に感じられるかもしれませんが、これにはそれなりの手間がかかります。
まず「食費」として仕分けられるものについて、ある程度のルールを事前に考えておかねばなりません。先月は交際費に入ったレストランでの食事代が、今月は食費になったりすると食費の時間的な変化を掴むことは難しくなるでしょう。
つまり費目を仕分けるルールを自分で決めた上で、そのルールを継続してゆく必要があります。
お土産に買ったお菓子は食費なのか交際費なのか、子供の給食費は教育費なのか食費なのか等々、始めはそのつど決めても良いですが、決めたルールは継続されなければ費目の意味はすぐになくなってしまうでしょう。
他の家計との比較は避けよう
各種の統計などで、一般的な家計の費目別の支出割合が出ていたりします。たしかにこうした統計と自分の家計を比べることは、家計の運営において参考になることもあるかもしれません。
しかし他の家計と比べるのは出来るだけ避けるべきです。
家計に正解はありません。統計による平均的な支出額などを見たとしても、それは自分の家計とは無関係なものと考えたほうがいいです。
すべての支出は自分の家庭に必要だからなされたという前提に立つなら、その支出は必要なのだから他の家計と比べても意味がないのです。
とは言え必要から支出を積み上げても、お金が足りないという状況を避けられるわけではありません。むしろ足りない状況に陥りがちになるでしょう。そうした上で個々の支出の必要性を疑ってゆくわけです。
家計の改善の第一段階はそれぞれの支出の必要性を見極めてゆく作業になります。必要性を見たあとはそれぞれに優先度を付けてゆきます。費目にこだわらず、すべての支出をフラットに比較してゆきましょう。趣味費だけは別枠というようなものは作らないようにしましょう。
これは非常にエネルギーのかかる作業ですが、やる価値のある作業です。一度行えば数年ごとに見直しすれば良いだけなのでラクになってゆきます。
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