YouTubeMusic JAPAN Weeklyランキング 2024年7月12〜7月18日を見ていきます。
Top100の概要 Creepy Nuts 1位復帰
今週の入れ替わり曲は16曲、新着曲は8曲、リエントリー8曲でした。
Top10の内容は先週とほぼ変わりませんでしたが、先週1位「ファタール(GEMN & 中島健人 & キタニタツヤ)」が3位に沈み、「Bling-Bang-Bang-Born(Creepy Nuts)」が1位に返り咲きました。
とは言え上位の再生数は一時期に比べてかなり減っており、極端な格差がなくなりつつあります。近いうちに大きな変動があるのかもしれません。
このところTop100の全域で順位変動が減っている傾向がみられ、楽曲消費期間が長くなっているのと同時に音楽市場のダイナミズムが失われている可能性を感じます。いずれ検証をおこなってみたいところです。
今週のTop100総再生数は1億3904万回、1位は613万回、100位は49万回でした。
ポイント考察:アーティストの生涯リリース数を考える
以下のように2019年から先週7/11までのTop100に入ったアーティストと楽曲の数を年ごとに集計してみました。右側の数値は楽曲数をその期間のアーティストの数で割ったものです。
アーティスト | ユニーク曲数 | 曲数/アーティスト | |
2019〜2024(7/11) | 1251 | 3855 | 3.08 |
2019年 | 432 | 911 | 2.11 |
2020年 | 419 | 892 | 2.13 |
2021年 | 411 | 888 | 2.16 |
2022年 | 345 | 826 | 2.39 |
2023年 | 406 | 883 | 2.17 |
2024年 (7/11まで) | 301 | 586 | 1.95 |
一番上は5年半分の集計で、この間にランクインしたアーティスト数が1251組、登場した楽曲数が3855曲でアーティストあたりのランクイン数は概ね3曲だということがわかります。
それ以降は年ごとの集計となりますが、傾向としては毎年ほぼ変わらずに来ていると言えます。厳密に見ると2022年にアーティスト数と楽曲数が顕著に減っており、これはおそらく新型コロナ禍の影響と考えて良いでしょう。
もちろんこの集計に入っていないアーティストや曲は多数ありますので、このデータからわかることは一部の売れているアーティストの傾向でしかありません。また本来はアーティストごとに個別に集計を行うべきですが、いくつか仮定を置いてアーティストの活動実態の概算としています。
まず、Top100に入ってくるアーティストは年間で400組余りなのですが、5年半で1250組×3曲にしかならないということは、上位20%(250組)程度のアーティストが入れ替わらずに継続的にランクインし続けており、毎年100組程度は一度限りのランクインで終わっているという大まかな目算が立てられます。
そして5年半はおそらくアーティスト全般の平均活動期間は越えていると考えていいでしょうが、上位20%のアーティストに関しては平均活動期間が10年程度はあるでしょうから、毎年2作品強のペースで活動しているとすると、この期間で12作品ほどリリースしている計算になります。
アーティストが活動中なのか休止中なのかはいちいち報告されないことが一般的なので、アーティストの活動期間が実際にどの程度になるのかを知ることは案外難しいことです。
そこでアーティストも営利事業ですから、商品となる楽曲を一定以上のスパンで出荷する必要があるでしょう。一年に一作品リリース程度がおそらく最低ラインで、新譜を出していない期間が1年を超えると実質的に活動休止になっていると判断するとしましょう。
つまり、ある程度売れているアーティストは10年以上の活動をする一方で、新規参入するアーティストは初回の楽曲が売れなければ、次の楽曲の制作に入ることも難しくなるような厳しい条件の下で活動している可能性があります。
実際にも大半の新人アーティストは1から2作品(1年以内)で終わってしまうのが通例なのではないかと思います。言い換えると一度メジャーアーティストの枠に入ることができれば比較的安定した活動ができるのでしょうが、それまでが大変だということなのでしょう。
最後に、データとしてはまだ現れていないようですが、今後音楽アーティストが資本集積型の事業から個人事業的な小規模経営型へのシフトが起こるとしたら、アーティスト数そのものは大きく増えるでしょう。メジャーアーティスト枠の競争率はこの意味でも上がるわけで、今年あたりがその変曲点になると予想しています。
今週の新着曲
今週は「RISE UP (NiziU)」と「忘れてください (ヨルシカ)」を定着曲として注目したいと思いますが、まだ予言できる自信はありません。
リエントリーではTHE FIRST TAKEの影響で9年前の「プラネタリウム(大塚愛)」が今週14位、4年前の「猫 (DISH 北村匠海)」が今週89位になり、THE FIRST TAKEの影響力の大きさを感じます。
また14年前の「天体観測 (BUMP OF CHICKEN)」が今週97位に入りました、何らかの影響からだと思いますが原因は不明です。
13位 Delusion:All (ONE OK ROCK)
なにかと話題の事欠かないONE OK ROCK(ワンオク ロック)ですが、また微妙な時期に新曲。古典的ロッカースタイルのアーティストはそろそろ厳しい感じが否めず。
楽曲は映画「キングダム 大将軍の帰還」の主題歌になっています。ランキングではオーソドックスなロックは珍しいのですが、若干単調なのと英語詩なのもあって印象に残らないかなあ。
映画のタイアップは映画のほうはメリットがあるのでしょうが、楽曲側に意味があるのかよくわかりませんね。
17位 EYES ON YOU (西野カナ)
「Best Friend」よりこちらが主線だったのかな?連続しているのは謎。楽曲としてはこちらのほうが良いと思いました。しかし西野カナ節なのでしょうけど、この歌詞でこのタイトルだと何か恐ろしいものを感じてしまわなくもないという、女の人って怖いわね。
18位 RISE UP (NiziU)
NiziUはコンセプトが成長型だと言われており、可愛いフェーズを脱して次の段階へということなのでしょうね。ただここからは競合も多いでしょうから試されることも多くなってくるのかも。
ダンスがなかなかかっこよく決まっていて、ダンスグループ色を出してゆくのでしょう。
24位 XO (Only If You Say Yes) (ENHYPEN)
エンハイプンは韓国の7人組アイドルグループ。HYBE傘下BELIFT LAB所属。2020年デビューでここまで順調に活動中。他国籍グループだけど統一感がある韓流イケメン集団。
楽曲は流行のEDM曲、あまり印象が残らない感じ。
45位 新しい恋人達に (back number)
ドラマ「海のはじまり」主題歌、back numberは2004年結成、2009年インディーズデビュー、2011年メジャーデビューという老舗バンド。ランキングを見ているとやはり「水平線」の印象が強い。
他の曲を聴いていないのでなんとも言えませんが、曲調のバリエーションが少ないのかなと余計なことを考えなくもないですね。
62位 忘れてください (ヨルシカ)
ドラマ「GO HOME 警視庁身元不明人相談室」主題歌、歌詞がなかなか味がある感じで、特にMVの出来がよいと思う。いずれ入れ替わると思いますが、現在ランキングからは楽曲のほうにリンクされています。
単純にn-buna氏の作詞の力量のすごさがわかる歌詞ですね。クラップは面白いけれど楽曲としては少し盛り上がりが欲しかったかも。
89位 WALK (NCT127)
詳細までは理解できていないのですがNCTは20人のボーイズバンドであり、NCT127はNCTのサブユニットで10人で構成されています。Kヒップホップ系のグループになると思うのですが、既に日本市場を放棄しているのか情報が遅れていたり謎が多いです。
92位 成敗いたAAAAAす!ft.鏡音レンリン (ワンダフル☆オポチュニティ!)
ゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク」の収録曲。 ワンダフル☆オポチュニティはじーざす×マイナスによる音楽制作サークルで、ボカロを中心に楽曲制作をしているそうです。
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