YouTubeMusic JAPAN Weeklyランキング 2024年7月19〜7月25日を見ていきます。
Top100の概要 はいよろこんで 1位
今週の入れ替わり曲は21曲、新着曲は12曲、リエントリー9曲でした。
なんと今週1位は「はいよろこんで (こっちのけんと)」が獲得、この曲は一応バイラル系の楽曲だと思うのですが、バイラル曲では「可愛くてごめん (feat. かぴ) (HoneyWorks)」(2023.4月)以来の1位獲得となります。
それ以外のTop10の内容は先週とあまり変わっていませんが。先週1位の「Bling-Bang-Bang-Born(Creepy Nuts)」は2位に後退しました。また「Chk Chk Boom (Stray Kids)」が今週5位に新着で入りました。
またMrs. Green Appleが7曲同時ランクインを達成、Mrs. Green Appleは今年1月の9曲同時ランクインが最大で、今年は常に複数曲をランクインさせ続けています。7曲同時は今年5回目。
上位の再生数の減少傾向が先週から続いており、僅差での順位の入れ替わりが起きています。大きな変動が予感されます。
また最近はかなり古い曲のリエントリーが続いており、それが単発で終わらずに数週間以上順位を維持するという現象がおきています。これは既存曲だけで音楽コンテンツ消費が完結しつつあるとも言え、新曲が定着することがますます困難になっていることの現れなのではないでしょうか。
今週のTop100総再生数は1億3648万回、1位は595万回、100位は51万回でした。
ポイント考察:アーティストのTシャツセールスマン問題
海外ロックバンドニュースサイトのamassにおいて、エクソダスのベーシスト、ジャック・ギブソンのインタビュー記事が話題になっていました。
概要としては、音楽業界が先行きの見えない現状にあり、バンドの結成からレーベルに見出されメジャーデビューができるという道が既に存在しなくなっていること。アーティストの成功への法則が不鮮明になり、かつて売れたバンドさえも実質的にTシャツなどのグッズを売ることがビジネスになっているというものでした。
たしかに米国のポピュラー音楽市場はグローバルチャートにおいて一時期ほどの存在感はなくなっており、ストリーミングなど音楽市場そのものは衰退していないのだとしても、バンドスタイルのアーティストが音楽CDを売り出すことによりスターにのし上がるという成功モデルはもはや破綻しているのかもしれません。
Tシャツなどのグッズによる集金活動も、スターへの幻想が色褪せるなかでいつまでも続けられるものではないでしょう。おそらくスターミュージシャンの多くはこれから静かに消えてゆく運命にあり、新しく生まれる音楽アーティストが成功し、安定したポジションを得ることは一層困難になってゆくのでしょう。
音楽CDで活躍してきた音楽アーティストはこれからの音楽コンテンツ事業の担い手としても必ずしも適応的ではないとは言え、アーティストの形式や手法も新しいメディアに対応したものが求められてゆくことになるのかもしれません。
そうした適応化においてはもはや単純なスターダムを得る特別な存在としてのアーティストは存在し得なくなり、高度な技能を持つクリエイター、もしくは強力な物語性を持ったメッセンジャーなどの何らかの必然性が求められることになるでしょう。
今週の新着曲
今週の新着局は12曲もあったのですが、単発で終わりそうな曲が多いように感じました。いちおう定着予想曲として「プランA (DISH//)」をあげておきたいと思います。
今週は逆にリエントリー曲で帰ってきた定着曲が目立っていました。今週26位「Overdose (なとり)」、今週74位「ともに (WANIMA)」、今週97位「Surges (feat. 夏背 & ルワン) (Orangestar)」など、いずれも特に予兆もなくいきなりランクインしており、それぞれバイラル上のきっかけがあったのだと思われますが、ランキングを見ている身としては詳細不明です。
5位 Chk Chk Boom (Stray Kids)
Stray KidsはJYPの8人組ボーイズグループ、個人的に最近知ったアーティストの中では一番予想外の人気があったグループの一つになります。楽曲はヒップホップ。韓国語ベースの歌詞ですがグローバルチャートで今週3位なので言語はもはや関係ないのかもしれない。
もとはどちらもチキブンなのでしょうがBoomはNumber_iのBONに近く聴こえますね。MVは何故かヒュー・ジャックマンなどが出ていて面白いのですが、まとまりがない感じもします。これからMVの流行も迷走するのですかねえ。
22位 Who (Jimin)
JiminはBTSのメンバー。ジミンはこの一年で5曲ほどリリースしていますが、いずれも単発のランクインになっており、国内では苦戦が続いています。ただ「Who」に関してはプロモーションに力が入っており、MVも工夫されているのである程度の人気定着を狙いにきているのでしょう。
ただ楽曲が全体として80年代シティ・ポップ感で構成されているのはよいのですが、どこかで聴いて見たような感じを受けることも否めず、なかなか新しいものを作るのは難しいのだなとも思わされます。
32位 プランA (DISH//)
アニメ「逃げ上手の若君」OP、DISH//は日本の4人組ダンスロックバンド、2013年デビュー。THE FIRST TAKEで現在最多再生数になっている「猫」が注目を集めるきっかけであったらしい。「猫」は今週95位にリエントリー。
楽曲は思いっきりロックなのだけど、ボーカルの抜けが良いのでMVも相まって間奏などはどこかの民謡か演歌っぽくも聴こえなくもありませんでした。
37位 チャンピオン (feat. 初音ミク) (Kanaria)
Kanariaは日本のボカロP、前作「Dec.」はGUMIでしたが、今作は初音ミク。本作の影響で「KING (feat. GUMI)」も今週66位にリエントリーしています。
43位 ドレス&タキシード (Snow Man)
この曲は「BREAKOUT」と「君は僕のもの」のシングル特典の録音シーン動画で、ランキング集計ギリギリのアップロードの関係でほとんど時間がなかったはずなのに余裕でランクイン、Snow Man強し。
ただオッサンが黙って聴くにはむず痒すぎるのでそこらへんを少し調整してほしいところ。もちろん需要があるのはわかるのだけれど。
53位 コイスルヒカリ (なにわ男子)
なにわ男子はSTARTOの7人組男性アイドルグループ、2021年デビュー。名称はメンバーの大半が大阪兵庫の出身だからだと思われます。
このタイミングだと思わずSnow Manと比較してしまいますが、なにわ男子は少年っぽさが目立って昔ながらの男性アイドルそのものという感じがします。実際にはファン層はかなり違うのでしょうね。
男性アイドルグループはほとんど見ていないのでなんとも言えないのだけれど、全体から受ける印象やスタイルがオーソドックスというか古さを感じなくもないです。とはいえ女性アイドルもブリブリなのが主流で、国内音楽の傾向なのでしょう。
59位 鎌倉STYLE (ぼっちぼろまる)
アニメ「逃げ上手の若君」ED。ぼっちぼろまるはVtuberでシンガーソングライター、代表曲おとせサンダー。アニメの主人公が艶めかしいという話ぐらいしか知らないのですが、ギャグアニメか何かなんだろうか。
71位 チートデイ (乃木坂46)
一応調べて書きますが、乃木坂46は日本の女性アイドルグループ、2011年結成。現時点(24年7月)の構成メンバーは33人です。結成当時のメンバーは既に卒業されているようです。
「チートデイ」は36枚目のシングルだそうで、ストリーミングサービスにも対応しているようです。乃木坂46は今年に入って2枚めのシングルですが、4月の「車道側」「夏桜」がランクイン単発で終わっており、おそらくこれは不本意な結果であると思われるので、なかなか厳しい状況にあるかもしれません。
動画はライブ映像でこれしか見ていませんが、スタイルが良く美形のメンバーが多いですね。単純に数の暴力の迫力を感じます。楽曲についてはそういうものと納得してもいいのですが、ユニゾン部が聴きづらいのと、全体も棒読み的に平坦に聴こえてしまうのは辛い。
73位 桃太郎パーティー (あしざるFC)
あしざるFCはフットサル系YouTuberだそうです。それは良いのですがフットサルをやっている集団が楽曲を出している理由はよくわからず、どうして桃太郎なのかというのも不明なままでした。もちろんランクインしているのが最大の謎ですが。
ともかくYouTuberに人気があって動員力というかインフルエンス力が強いことはわかるのですが、これは逆に普通の音楽アーティストにバイラルパワーがなさすぎやろ、ということの現れなんだと思いますね。
これからの音楽アーティストは基本的にYouTuberとして音楽やダンスの魅力などをライブや動画で伝えながら活動し、リスナーと交流しつつ、楽曲リリースの都度重大発表すれば良いのかもしれない、と思うなど。
86位 il vento d’oro (菅野祐悟)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 第5部」BGM、菅野佑悟は日本の作曲家、編曲家、音楽プロデューサー。この楽曲はインストゥルメンタルですが、たしかに緊張感のあるBGMでアニメによく合っているのだろうなと思います。
楽曲動画は4年前のアップロードで既に1億回再生を超えていますが、なぜか今週の新着曲として入っています。おそらく何かきっかけとなるイベントがあったのだと思います。
89位 ユーチューバー (feat. 初音ミク) (ピノキオピー)
ピノキオピーは日本の作曲家、ボカロP。
歌詞がおもしろい。
90位 Bounce! (CYBERJAPAN DANCERS)
CYBERJAPANはMITOMI TOKOTOによるDJプロジェクト、プロダクション。CYPERJAPAN DANCERSはダンサー&モデルグループで、クラブのポールダンサー・ゴーゴーダンサーでありモデル活動も行っているのだそうです。
サイトの説明などを見ると、固定的なグループではなくてイベントごとに変わるようなフワフワした感じで、DJの作るイベントってなんでも適当やなと思わされる。
楽曲はダンス曲、ダンスバージョンを作りたかっただけだと思う。上品か下品かと言えば下品でしかないけれど嫌いではないです。
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