YouTubeMusic JAPAN Weeklyランキング 2024年8月2〜8月8日を見ていきます。
Top100の概要 今週もMrs. Green Apple祭り
今週の入れ替わり曲は12曲、新着曲は7曲、リエントリー5曲でした。
今週1位は先週に引き続き「ライラック (Mrs. Green Apple)」Mrs. Green Appleは今週5位に「点描の唄 (Live)」今週9位「コロンブス(Live)」今週11位に「ケセラセラ」とランクインさせ好調。「点描の唄」と「コロンブス」はコンサートライブ映像になっています。
Top10はほぼ変動がなく、全体としてもあまり変動のない一週間となりました。リエントリー曲やタイアップ色の強い曲が目立っており、新曲の弱さが顕著になりつつあります。
宝鐘マリンが今週23位「幽霊船戦」今週42位「III」今週78位「美少女無罪♡パイレーツ」と3曲同時ランクイン達成、おそらくVtuberでは初の快挙。
夏曲はここに来てさらに増えて来ました。新曲であれば制作者側が狙うわけでしょうが、過去の曲はリスナー側の選択によります。そういう意味では現在のランキングの主導権はほとんど聴き手にあるということなのでしょうね。
今週のTop100総再生数は1億2121万回、1位は628万回、100位は47万回でした。
ポイント考察:これからの音楽産業の指標としてのXG
音楽流通メディアが限られていた時代のおいては、音楽アーティストは実質的に産業商品として作られるものでした。アーティストの成功は商業的な成功とイコールとされ、楽曲の販売により生み出された資金が次世代のアーティストの育成とプロモーションに投資されるというサイクルが形成されてきたと言えます。
ここからメディアが多様化し音楽流通が民主化されてゆくとすると、音楽産業の基盤となっていた希少性が失われ、コンテンツが飽和してゆくとともに商業アーティストの再生産サイクルも次第に崩壊してゆくと予想されます。
XGは日本人7人組ガールズグループですが、プロデュースシステムにおいてはおそらく国内で過去最大クラスの資金や時間の投下によって誕生したグループなのではないかと思います。実際メンバーの実力はかなり高く、ブランディングにおいても成功しているように見えます。
状況的には国内音楽市場からXGが生まれたとは形容し難いのですが、国内にはグローバル市場に戦略を持って積極的に切り込もうとするアーティストは事実上存在していないので、これからの音楽市場がグローバル化してゆくのであれば、XGがそこに参戦しうる唯一の国産アーティストとなるでしょう。
そしてXGが成功すれば後に続くアーティストが誕生することもあるのかもしれませんが、このままアーティスト再生産サイクルが縮小してゆくとすれば、XGは大艦巨砲主義的な手法によって生まれる最後の商業アーティストになる可能性が高いでしょう。
XGは国籍やジャンルにとらわれずにグローバルに、ダンスと歌唱などの実力でのし上がるという理想のもと活動しているようです。たしかに独創的なアーティストはそうであるべきだなとは思います。
問題は彼女たちの進む路線が独自すぎてかなり細いように見えることです。既にXGをいわゆるヨジャドルとして捉える人は少ないでしょうし、乗り込もうとしている欧米のHipHop文化には歴史と文脈があり新参者に厳しく、また演者と作者が分離するアイドル形式がすんなりと受け入れられるとは考えにくいです。
音楽市場は需要と供給で成り立ち、同時に生活と結びついた文化でもあります。アイドルとラップバトルはプロレス構造を内包しているという意味において似ていて、そこに実力派演武格闘家が乗り込んで成功するのは相当に難しいことでしょう。
いずれにしろ彼女たちにはこれから新しい音楽ジャンルをゼロから生み出してゆくぐらいの気概が必要となるわけで、本当に頑張ってほしいと思います。どれくらい時間が残っているかはわかりませんが。
今週の新着曲
今週の新着局は7曲です、定番化曲予想は今週はなし。
YouTubeはURLと再生数をそのままで差し替えする機能があります。たまにランクインした当初と内容が変わっていたりして驚きます。今週は9位「コロンブス (Mrs. Green Apple)」と今週28位「ホムンクルス (Vaundy)」今週39位「舞台に立って (YOASOBI)」が変わっていました。
今週のリエントリー曲では今週61位「高嶺の花子さん (back number)」と今週94位「SUMMER SONG (YUI)」が目立ってました。
38位 Brought The Heat Back (ENHYPEN)
ENHYPENはHYBEの7人組男性アイドルグループ。なんとなくJO1と似ている気がしますが、こちらのほうが古い。「XO」はくすぐったかったですが、こちらはオッサンでも聴きやすい。
53位 RED OUT (米津玄師)
SpotifyのCMソング、タイアップにしてはずいぶんエキセントリックな感じな曲です。「毎日」でも感じたのですが、米津玄師疲労説を出してみたいところ。たまにはゆっくり休んでほしい米津玄師。
集計期間最終日に登録されてこの順位なのでおそらく来週はもっと上がると思われます。
74位 恋のブギウギナイト (サザンオールスターズ)
サザンの新曲が74位ですか。まあストリーミングの世代を考えるとそんなものなのでしょうね。冬に9年ぶりのアルバムが出るそうで、その先行リリース曲。
それにしても「恋のブギウギナイト」ってタイトルが相変わらずという感じがして妙に笑える。メンバーの姿はもはやカッコいいとしか言えませんかねえ。
77位 BELIEVE (NiziU)
アニメ「神之塔 -Tower of God- 王子の帰還」テーマ。曲調は「RISE UP」と似ていますが、アニメの内容のせいか妙に重い印象があって「RISE UP」のほうが聴きやすい。
80位 夏色 (ゆず)
もちろん1998年リリース曲、昨年に公式チャンネルに動画登録されたようです。今や夏の代表曲なので関連曲として上がってきたのだと思われます。久々に見ましたがお二人が若いですね。
今週67位「ともに (WANIMA)」は8年前でもそれほど古いように見えないのですが、26年前ともなるとさすがに映像の規格自体が古くてレトロ感があります。
97位 Grow Up (Live) (BE:FIRST)
BE:FIRSTのライブ映像、ヒップホップダンスを踊りながらファルセットの多い曲を歌うパフォーマンスは難しいのでしょうね。映像だけだとなんだかキレのないダンスをダラダラやっているようにも見えなくもありませんでした、ライブの終盤だったのかな。
98位 Stray Kids (Stray Kids)
アルバムの関係なのか、このところ毎週のように新曲を出しているStray Kids。グループ名を冠した曲なのでグループの立ち位置を宣言した感じの曲なのだと思う。
しかし男性アイドルグループはメンバーの識別がまったく追いつかない。それぞれのグループの雰囲気ぐらいしかわからなくなってきたので、そろそろいくつかに絞って覚えることにしようかしら。
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