YouTubeMusic JAPAN Weeklyランキング 2024年7月26〜8月1日を見ていきます。
Top100の概要 Mrs. Green Appleの逆襲
今週の入れ替わり曲は18曲、新着曲は9曲、リエントリー9曲でした。
今週1位は「ライラック (Mrs. Green Apple)」、またMrs. Green Appleは今週9曲を同時ランクインさせました。これは今年1月に続いて2回めの快挙となります。そしてMrs. Green AppleがYouTubeMusic週間ランキングで1位の獲得は初のことであり、長く多数の楽曲をランクインさせ続けてきたアーティストとしては少し意外に思える記録です。
夏本番になって、オリンピックなども始まりまったこともあって夏曲がランキングに揃った感じがあります。季節の定番曲は案外多いし、季節で聴かれる曲も変わるものなのだなあと思わされます。
Top10では「Bling-Bang-Bang-Born(Creepy Nuts)」が2位を死守、「コロンブス (Mrs. Green Apple)」が5位に入ったところが目に付きました。
今週のTop100総再生数は1億3626万回、1位は596万回、100位は51万回でした。
ポイント考察:ストリーミング収益を考える
国内の音楽市場は約9000億円あります。そのうちストリーミング市場は2700億円の売上になっています。ここからストリーミングサービス事業者の手数料と経費を除いてゆけばコンテンツ製作者のストリーミング収益の総額の概算ができるはずです。
ストリーミングの報酬は基本的に楽曲再生回数に比例する形で計算されています。その配分や再生あたりの楽曲使用料などの詳細は事業者によって違うでしょうし、いずれも明らかにはなっていません。推測にしかなりませんが、おそらく1600億円程度が音楽ストリーミング報酬の総額になるのでしょう。
年間1600億円は週あたり30億円弱になります。これを単純に再生回数で配分されたとし、週間の全楽曲の再生回数中位は100位であると仮定します。
またYouTubeMusicの音楽ストリーミング市場占有率は10%もないと思われますが、YTMでの再生数が他のストリーミングサービスを含めた全体の楽曲ごとの再生シェアを概ね表しているとしましょう。
つまりYTMの週間Top100の総再生数は1億4000万回ほどであるため、すべての音楽ストリーミングサービスからの再生毎報酬は約10円になると計算できます。
この場合、YTM週間1位は約500万回なので5000万円、100位は約50万回なので500万円が一週あたりのコンテンツ事業者の収益ということになります。
各ストリーミングサービスへの配信は間にアグリゲーターと呼ばれる業者が入りますし、コンテンツ制作のコストなどを考えると、アーティストへの報酬は良くて1円/再生程度なのではないかと考えられます。
国内の音楽CD売上からのアーティスト収益は1%もないと言われていましたので、実際にはもっと低い可能性もあります。(売上の1%であるとすると約0.2円/再生)
ともかくストリーミング全盛時代においては、個人事業のYouTuberや小規模な楽曲製作者の収益率は高くなるはずです。収益で言えばいわゆるレコード制作会社に所属して楽曲制作を行っているアーティストは相対的にかなり不利な立場であるのかもしれません。
たとえば10万回再生で終わるような楽曲はメジャー系の制作会社では赤字になってしまうでしょうが、ボカロPや個人制作では十分な収益を期待できる範囲でしょう。
ところでYouTubeの場合は動画収益や他動画からの楽曲使用料などの収入も考慮しなくてはならないため、単純に楽曲再生だけでは収益計算はできません。ユーザーから見ると同じなのですが、YTMで視聴した場合、再生している音楽が楽曲扱いなのか動画扱いなのか曖昧なところがあります。このあたりも今後探ってみたいと思っております。
今週の新着曲
今週の新着局は9曲ですが、短期的に消費されると思われる曲が多い。定番化曲予想は今週18位「SOMETHING AIN’T RIGHT (XG)」、今週20位「Hi-Five (ME:I)」とします。
今週のリエントリー曲では今週76位「前前前世 (RADWIMPS)」が目立っていました。
15位 Feelin’ Go(o)d (藤井風)
藤井風はおそらく現在最も人気のあるシンガー・ソングライターであり、一人バンド形式を国内で再び流行らせた要因にもなっているでしょう。2020年メジャーデビューですが音楽活動は2008年からとなっています。
楽曲のほうはイージーリスニング系のフワフワした感じ。山下達也を少し思いおこさせる。MVは怪しい天使風のオヤジが子供を引き連れて天界をめぐる。タイトルはGoodとGodを掛けているのだと思う。
18位 SOMETHING AIN’T RIGHT (XG)
多国籍グループだと勝手に勘違いしていたのだけど、XGは日本人7人組ガールズグループ。ヒップホップとR&Bをかなりまじめにやっている印象があります。
楽曲はシンプルで聴きやすいと思いますし、けっこうな良曲なのではないかと思いますね。ただMVの演出とビジュアルにインパクトがありすぎて意識はそちらに引きつけられてしまう。歌やダンスに集中しても良いと思うのだけど難しいのですかねえ。
20位 Hi-Five (ME:I)
ME:Iの2枚目のシングル。成長型アイドルグループということになっているけれど、ダンスと歌唱はかなり完成していてスタイリッシュなポップ感があります。11人だとさすがにメンバーの識別がなかなか難しい。
物語的にリーダーのMOMONAとTSUZUMIが気になっていたのだけれど、歌唱のパートが不明なこともあって、MVではMIUとAYANEに目が行きました。
30位 幽霊船戦 (宝鐘マリン)
宝鐘マリンはチャンネル登録者数は300万人を超えるVtuber。YouTuberとしてはオリジナルの歌ってみた動画を出しているだけなのだろうけれど、もう成功した音楽アーティストの一人としても数えられても何もおかしくはないでしょう。
しかしMVのアニメーションは手間と時間、お金がかなりかかっているはずであり、個人のコンテンツ製作の域を超えていますね。内状がどうなっているのかは知りませんけど、なんにしろすごいことです。
声質を活かした楽曲でシンプルで聴きやすいと思いました。3Dライブでダンス付きで聴いてみたいものです。
37位 Bring it on (ROF-MAO)
ロフマオはにじさんじ所属のVtuber4人で構成されるユニットです。
楽曲は少し懐かしさを感じるDJダンスチューンですが、ロフマオのイメージに合っていて似合っていると思います。
MVのキグルミも中の人はいないのでしょうが、Vtuberもいろいろ大変やなとは思いましたかね。
54位 Sharon (Official髭男dism)
Official髭男dismは4人組バンドで2018年メジャーデビュー。
昨年末の「SOULSOUP」以来の新曲になります。歌い上げる感じは変わっていないのですが、少し大人しくなった大人の恋愛ソングという感じでしょうか。Sharonは通常は人名なので特に意味はないのだと思いますが、モデルになっている特定の人物を指すのかもしれません。
71位 舞台に立って (YOASOBI)
NHKの五輪テーマ曲らしい。YOASOBIはコンテンツの内容に沿ったタイアップが上手いと思っているのだけれど、それは主に創作物に対してなのでしょうね。どうしてもストーリーが先にあるアニメのテーマ感があって、それをリアルなスポーツへの熱い思いを描くテーマにすると上滑りしている感が否めない。
84位 MOUNTAINS (Stray Kids)
Stray Kidsはこの間「Chk Chk Boom」を出したのだけど、今回は動画だけのようで販売戦略がどうなっているのかよくわからない。
どちらにしても韓流イケメンの韓国語Kラップ曲ということになると、何を歌っているのかわからないので聴き続けるのは辛い。
90位 愛のかたまり(Live) (KinKi Kids)
映像は昨年から今年にかけて行われたコンサートツアーの最終公演。しかし生演奏だと思うのですが、随分録音の音質が良いですね。二人もベテランらしく完璧に歌い上げていてとても見応えがあります。
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