YouTubeMusic JAPAN Weeklyランキング 2024年8月16〜8月22日を見ていきます。
Top100の概要 はいよろこんで首位再奪還
今週の入れ替わり曲は21曲、新ランクイン曲は11曲、リエントリー10曲でした。
今週1位は「はいよろこんで (こっちのけんと)」が一月ぶりに再奪還。グローバルチャートでも今週49位、1000万再生を維持しています。
Mrs. Green Appleは今週2位「ライラック」今週6位に「familie (Live)」今週10位に「点描の唄 (Live)」と10位以内3曲を維持。Top100でも37位に新着「橙 (Live)」を加え、ライブ映像曲を中心に7曲同時ランクインとなっています。
Top10では今週3位「INZM (Number_i)」と今週7位「EMPIRE (Snowman)」が新ランクインとなっています。
今週33位「わたしの一番かわいいところ (FRUITS ZIPPER)」は初ランクインが2022年の9月で何度か圏外になっているものの、今年の1月にリエントリーを果たした後はほぼ継続的に週100万再生、30位台を保っており、今週で37周目のランクイン。国内女性アイドルグループとしては今年最も聴かれることになりそう。
この曲だけでもエントリーが長期化している傾向が見えると思います。
入れ替わりがそれなりに多い割にランキング全体の印象はあまり変わった感じがしないので、新曲が弱くリエントリーが強いことの影響で実際には停滞傾向が強くなっているかもしれません。
またMVの映像やタイアップなどでアニメの影響が強い印象も一段と高まっており、日本の音楽チャートはアニメ中心になりつつあると思います。
今週のTop100総再生数は1億2648万回、1位は590万回、100位は47万回でした。
ポイント考察:ストリーミング時代の楽曲戦略
音楽CDからストリーミングサービスへの音楽市場の移行が進み、音楽コンテンツが楽曲だけではなく映像やSNSでの活動を含んだ複合コンテンツに変化してゆくとすると、音楽業界の構造的変化が最も早く現れるのはYouTubeのランキングになると予測します。
また販路としてのメディアが変化すれば、音楽産業にとってストリーミングに適した戦略も変わってくるはずです。もっとも戦略と言っても再生数を伸ばすしかありませんが、再生数を伸ばす特別な手法は存在しません。
さらに再生数は上位に大きく偏るので、損益分岐点が高い場合は大当たり狙いで楽曲を制作しなくてはならず、一定以上打率が下がってしまうと利益は確保できたとしても新規のアーティストの育成や投資に回すことが困難になるため長期的には大型の企画型アーティストは生まれにくくなるでしょう。
したがって損益分岐点を下げて長期安定的に再生数が稼げる楽曲を多く作ることが基本的な戦略になると思います。
損益分岐点を下げるには制作費をカットするしかないので大作MVは作れなくなるでしょうし、楽曲のヒットが確認されてからMVを作ったり差し替えたりすることも増えてくるのかもしれません。
再生数の長期安定も聴き手の生活風景や季節に馴染むイベント曲であること、楽曲としての完成度が高く、演奏や歌唱、ダンスなどの技術的な実力がどこかで秀でていることが必要になってゆくでしょう。
SNS対応の重要性を増し、引用や利用がされやすくポイントになるメッセージが明確であるほうが良いでしょう。
またストリーミング時代ではユーザーのプレイリストに入るか入らないかが成否の分かれ目になるので、アーティストのブランディングやストーリーも長期的には意味を持ってくるかもしれません。
今週の新ランクイン曲
今週の新ランクイン曲は11曲、定番曲予想は「INZM (Number_i)」だけでしょうか。Snowmanも強いとは思うのですが個人的に「BREAKOUT」のほうが好きなので。
今週のリエントリー曲では今週83位「東京フラッシュ (Vaundy)」と今週88位「Crazy F-R-E-S-H Beat (Snow man)」いずれも4年前の楽曲が目立っていました。
3位 INZM (Number_i)
ラップ曲であることに単純に驚いたのですが、国内ランキングで完全ラップ曲がこの順位にきたことはこれまでなかったのではないでしょうか。すでに2000万再生を越えているのでしばらく上位に定着しそう。
個人的にNumber_iはバラード曲の印象も強かったのですが、ラップも上手いですね。和ラップは甲高い声でどうでもよさげな内容をリフレインで歌うことが多いので困っていたのですよね。
7位 EMPIRE (Snowman)
なんだか今年に入ってSnowmanばかり見ている気がする。映像制作費はかなりかかっていそうで見応えがありました。楽曲はすこしありきたりな感じがしなくもないけれど、おそらくダンスを見せる曲になるのでしょうね。
動画再生数が回っているようで、集計期間を考えると来週はさらに順位が上がりそうです。
30位 New Woman (feat. ロザリア) (LISA)
今週のグローバルチャート1位の曲で4700万回再生ですが、国内は110万回再生で30位であり、とりあえず国内のチャートが内向きであるのは否定のしようがないところです。
正直なところ楽曲は必然性のない転調があったりしてよくわからない印象でした。MVも狙ってやっているのでしょうけれど、これが流行するとしたらアーティストは受難の時代に入るのかも。
37位 橙 (Live) (Mrs. GREEN APPLE)
楽曲自体は昨年のアルバムに入っていたものだそうです。別に批判したいわけではないけれど、大森氏の作詞は雰囲気だけは伝わってくるのだがメッセージがないのでいつもモヤモヤした気持ちになってしまう。
解釈は聴き手に任せられているというようなことはあるにしても、中身がなければ解釈も何もないでしょう。国内で最も聴かれているであろうバンドがそういうスタイルだとしたら、音楽に求められているものって何なのだろうなと思わされてしまいます。
49位 Runner (爆風スランプ)
THE FIRST TAKEの往年のアーティストリバイバル企画はどういった意図があるんでしょうかねえ。たしかに懐かしいとか流石だなとも思うのだけど。
57位 UMP (Hey! Say! JUMP)
JUMPからJを除いたものがUMP(Ultra Music Power)ということらしいです。楽曲はたしかに疾走感があるように感じました。ただなんと言うか行き先が見えない感じと迷いが見えたのは気のせいなんでしょうか。
58位 絶対的第六感 (日向坂46)
日向坂46は現在おそらく27名のガールズグループ。判別はできないけれどMVのメンバーの様子は可愛らしい。ダンスのステップも踏めているみたいだし、ダンスグループになったりしないのだろうか。
個人的にはK-POPを聴き慣れているので日本語歌詞のユニゾンが辛い感じが否めない。パート割はしないのが流行りだったりしますかね。
65位 별별별 (See that?) (NMIXX)
エンミックスはJYPの6人組ガールズグループ。TWICEの後輩的な位置づけで2022年デビュー。今回はJYPの苦境が伝えられる中での少し慌ただしい感じのカムバック。メインボーカルのヘウォン中心のグループのように見える。
楽曲タイトル별は星であり、スターの象徴的な意味が含まれていると思う。MVもガルクラでヒップホップ色が強めのK-POPという感じ。
74位 千の夜をこえて (Aqua Timez)
「千の夜をこえて」は2006年の楽曲でアニメ映画「BLEACH」などの複数タイアップ曲になっている。
THE FIRST TIMEはアーティストごと2曲歌うことが多いので、今週44位の「虹」の関連で上がったものと思われる。
84位 愛とU (Mega Shinnosuke)
Mega Shinnosukeはシンガー・ソングライターで個人クリエイター。声質や歌い方が小沢健二の印象と被る気がしますかね。
楽曲の個人制作者を応援したい気持ちは大きいつもりなのだけど、いまひとつ共感の取っ付き先がないのでいつも微妙な感じで見てしまう。
100位 ディア (feat. 初音ミク) (Giga)
GigaはボカロP、「劣等上等 (歌ってみた) (feat. Rin Kagamine)」などが代表曲。
相変わらずボーカロイドはわかっていないのですが、MVのVtuber風のモデルはキレイだと思いました。
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